Rosetta2廃止のスケジュールと対象OS
Apple公式発表の概要とWWDC 2025での発言内容
2025年、AppleはWWDC(世界開発者会議)で Rosetta2の段階的廃止 に踏み切る方針を公式に明らかにした。
これは開発者向けのドキュメント更新と「Platforms State of the Union」(開発者向けプレゼン)にて発表され、一般ユーザー向けにはさほど大きなプレスリリース等は出されなかったものの、Mac史における一大転換点といえる動きだ。
Appleは今回、以下のようなメッセージを明確に発している:
「RosettaはApple Siliconへの移行を容易にするために設計された一時的な仕組みです。
々は、次の2つのmacOSメジャーリリース(macOS 27まで)においては完全な形で提供を継続します。
その後は機能を段階的に縮小し、特定用途(主に古いゲーム)向けの限定的な形に移行します。」
引用:WWDC25
つまり、Appleの意図は 完全なIntelコード互換性の段階的な終了 にあり、Rosetta2はあくまで「架け橋」であり続けるものではないという明確なスタンスを示している。
WWDC 2025ではさらに次のようなガイダンスも開発者に向けて出された:
「macOS 28(2027年想定)までに、全てのMacアプリはApple Silicon上でネイティブに動作する必要がある。」
引用:WWDC25
Appleとしては、2027年をひとつの大きな区切りとし、それまでにアプリ開発者がIntel依存から脱却することを強く求めているのである。
macOS 15「Sequoia」からの動き
以前から、ユーザーの間で「Rosetta2が廃止されるのではないか」という懸念も一部で広がっていた。
しかし今回Appleは公式に 「次の2つのメジャーリリースまではRosetta2をフル提供する」 と明言したため、少なくとも 2025年版と2026年版のmacOSでは、Rosetta2は引き続き利用可能 という安心材料が得られた。
Sequoia上でのIntelコード実行は引き続きサポートされており、ユーザーが意識的に特別な操作をしなくても Rosetta2は必要なときに自動的にインストール/動作する 形態が維持されている。
したがって、現時点(2025年)でApple Silicon Macユーザーが Intel専用アプリ(いまだApple Silicon未対応なアプリ) を使っている場合でも、通常利用上は問題は生じていない。
macOS「Tahoe」(2025年版)がIntel Mac最終対応版となる背景
2025年秋にリリース予定の macOS「Tahoe」 が、Intel Macを公式にサポートする最後のmacOSになる こともWWDCで明示された。
これには以下の複数の背景がある:
- Intel Mac販売終了からすでに数年が経過
Appleは2020年からApple Siliconへの移行を開始し、2023年には全ラインナップのApple Silicon化を完了している。その後、Intel Macは新規販売されておらず、既存ユーザーの割合も年々減少している。 - サポートコスト削減と最適化
Intel MacとApple Silicon Macではアーキテクチャが異なり、OS側で両方のサポートを続けることは開発・テスト・最適化面で大きな負担となっている。Appleはこの負担を2025年以降は軽減し、Apple Siliconに最適化したOS開発に集中する狙いがある。 - セキュリティの観点
Apple Siliconには セキュリティ機能(Secure Enclaveなど) が高度に統合されており、今後のmacOSの新機能がIntelアーキテクチャでは実現困難なものが増えていく。これもIntel Macサポート終了を早める一因となっている。
なお、macOS「Tahoe」を搭載したIntel Macに対しては、その後約3年間はセキュリティアップデートのみが提供 される予定とされている(新機能追加は行われない)。
つまり、Intel Macは 実質2028年頃までセキュリティサポートが継続 される見込みであり、急激な切り捨てにはならない配慮も見せている。
macOS 27(2026年)〜macOS 28(2027年)のフェーズアウト詳細
macOS 27(2026年版) からは、Intel Macは完全非対応 となり、Apple Silicon Macのみ がOSアップデート対象になる。
しかしこの段階では Apple Silicon Mac上ではRosetta2は引き続きフル提供される。
つまり、Intel専用アプリはまだ通常通り動作する。
ところが macOS 28(2027年版) においては 大きな転換 が起こる予定だ。
Appleは「Rosetta2の汎用的なIntelコード変換機能を停止し、一部用途(主に古いゲーム)に限定する」と明言している。
この「限定版Rosetta2」がどのような範囲をカバーするかの詳細は今後開示される予定だが、少なくとも以下は確実に言える:
- 通常の業務アプリ、一般的なIntel専用アプリは 動作不可 になる見込み
- 一部古いゲームについては 限定的にRosettaサポートが残される (Apple側が対象ゲームやエンジンをホワイトリスト管理する可能性あり)
この段階が Intelコードに依存するアプリの「寿命の見極め」 の本番フェーズとなるだろう。
2028年以降のRosetta完全廃止の可能性
Appleは公式に「Rosetta2の役割は一時的なものであり、恒久的に維持する意図はない」と述べている。
macOS 28で「限定モード」が導入された後、さらに1〜2年後には完全廃止される可能性が高い。
過去の例を見ても、Appleはこうした互換レイヤーは 約5〜7年程度で終了させてきた:
- Rosetta(PowerPC→Intel移行時) は2006年に導入され、2011年のOS X Lionで完全削除
- Rosetta2(Intel→Apple Silicon移行時) は2020年に導入され、2027〜2028年頃に役目を終える計画
そのため、2028年〜2029年頃のmacOSではRosetta2自体が完全に削除されるシナリオが濃厚といえる。
これはMacの将来を 完全Apple Siliconネイティブな世界へ移行させる というAppleの長年のビジョンとも整合的だ。
まとめ
Rosetta2廃止は「もうIntel Macを含む世界からMacは脱皮する」という明確なシグナルであり、技術的な必然ともいえる流れだ。
Appleはこのプロセスを 段階的かつ猶予を十分に与えて進めている ため、ユーザー側もこのタイムラインを正しく理解して準備を進めることが重要になる。
2025年「Tahoe」→ 2026年macOS 27 → 2027年macOS 28 → 2028年以降
この流れを意識することで、自身の使っているMacやソフトウェア環境の「未来の健康診断」が今からできるだろう。
なぜ今Rosetta2廃止なのか?
Apple Silicon移行の成熟と普及状況
2020年にAppleが自社製チップ Apple Silicon(M1チップ)を搭載したMacを初めてリリースしてから、すでに約5年が経過した。
この間、Appleは 驚異的なスピード でラインナップ全体をApple Siliconへ移行し、現在販売されているMacは すべてApple Silicon搭載機種 となっている。
販売面でもApple Silicon搭載Macは市場に浸透し、Appleの公式発表によれば Mシリーズ搭載Macはすでに販売台数ベースでIntel Macを大きく上回る 状況にある。
つまり、Macユーザーの大多数がすでにApple Siliconの世界へ移行済み という段階なのだ。
これにより、Appleにとって 「Intelとの互換性を維持するためのコストや複雑性」 が プラットフォームの進化を妨げる足枷 になりつつある。
Rosetta2という互換レイヤーは一時的に必要不可欠だったが、いまや その役割を終えつつある のは自然な流れといえる。
Rosetta2は「一時的な橋渡し」として設計された
そもそも Rosetta2 は「恒久的な機能」として作られたものではない。
Appleは公式文書でも繰り返し次のように説明してきた:
「RosettaはApple Silicon移行を容易にする一時的な互換レイヤーであり、永続的に維持する意図はない。」
引用:Apple
この設計思想は 過去の移行期(PowerPC → Intel)でも同様 だった。
2006年の移行時に登場した 初代Rosetta も、2006年〜2011年という約5年間の提供を経て 完全廃止 されている。
Appleはこうしたアーキテクチャ転換において「古い世界に対して“配慮期間”を設けつつも、一定期間で完全に脱却する」という戦略を一貫して取ってきた。
これは 古い互換性を永続化させると、最新ハードウェア/OSの最適化が阻害され、結果としてユーザー体験全体が劣化する という教訓によるものだ。
Rosetta2の廃止は、この Apple伝統の「古い荷物は切り離す」哲学 の延長線上に位置づけられている。
技術的・セキュリティ的な観点から見たメリットと負債の切り離し
① 性能・最適化の観点
Apple Siliconは ARMベースのアーキテクチャ であり、Intel x86_64系とは設計思想が根本的に異なる。
Rosetta2は非常に優秀なトランスレーターではあるが、それでも ネイティブなApple Siliconコードよりはパフォーマンスが低下 するケースがある。
Appleは今後のmacOSで Apple Silicon特有の機能(Neural Engine、統合GPU、メモリアーキテクチャなど) をより一層活用したい考えだ。
そのためには 古いIntelコード対応を維持する負担を軽減し、OS全体の軽量化/最適化 を進める必要がある。
② セキュリティ上の理由
Rosetta2が動作することで、Intel向けの古いコード(しばしば最新のセキュリティガイドラインに沿っていないコード) もApple Silicon上で実行可能になってしまう。
これ自体が セキュリティホールとなるリスク を孕んでいる。
また、コード署名やメモリ保護などの最新機能がApple Siliconネイティブアプリと比べて制約を受ける ケースもあり、Appleはこのリスクを削減したい意向がある。
特に企業・公共機関などの用途では ネイティブなApple Silicon対応アプリだけを許可するポリシー が今後主流になることも予想されている。
③ OSの保守性と将来性
Rosetta2を含めることで、macOSは内部的に Intelコード実行のための大量の互換性コードや検証工数 を抱え続けなければならない。
このコストは今後のmacOS進化を妨げる要因になりつつある。
Appleは OSをより軽量化し、Apple Silicon向けに特化した形に進化させたい と考えており、その一環としてRosetta2は切り離すべき「技術的負債」と位置付けられている。
「今」が最適な廃止タイミングである理由
なぜ2025〜2027年が Rosetta2廃止の最適なタイミング なのか?
Appleはその背景を以下のように判断していると考えられる:
- Apple Silicon搭載Macの普及率が臨界点を超えた
→ 大多数のユーザーはすでにApple Silicon Macを利用中 - 主要アプリのApple Silicon対応がほぼ完了
→ Microsoft Office、Adobe CC、Chrome、Firefoxなど主要ソフトは全てネイティブ対応済み - Intel Macのサポート終了タイミングと自然に一致
→ 2025年のmacOS「Tahoe」でIntel Macサポートを終了 → その後段階的にRosetta2も縮小 - macOSの将来設計に影響が出始めている
→ Appleは今後のmacOS機能をApple Silicon前提で大胆に設計していく段階に移行している
こうした要素が 「今」こそ廃止プロセスを開始するべきタイミング であるというAppleの判断につながっている。
まとめ
Rosetta2の廃止は単なる「古い技術の切り捨て」ではなく、Macプラットフォーム全体を次のステージに進化させるための戦略的な一手 だ。
Apple Siliconという 高性能かつ安全なアーキテクチャ に完全移行することで、
Macは今後 より高速/より安全/より省電力/より洗練されたOS体験 を提供できるようになる。
ユーザー・開発者双方にとってこの移行は準備を伴うものだが、最終的には恩恵の方が大きいことは間違いない。
Rosetta2はその役割を十二分に果たしてきた——今こそ次のフェーズへ進む時 なのだ。
Rosetta2廃止が一般ユーザーに与える影響
Intel Macユーザー:2025年以降に待ち受ける現実とは?
まず最初に問われるべきは、いまIntel Macを使っているユーザー の今後だ。
Appleは2025年秋リリース予定の macOS「Tahoe」 を Intel Macがインストール可能な最後のmacOS とする方針を明確にしている。
この意味するところは極めて大きい:
- Intel MacはmacOS「Tahoe」以降、新しいmacOSにはアップグレード不可
- セキュリティアップデートは 約3年間のみ提供予定(2028年頃まで)
- それ以降は OSの脆弱性対応も終了 → 実質的にリスクが大幅増大する
つまり Intel Macはあと約3年程度で「死蔵リスク」を抱える存在になる ということだ。
特に企業・官公庁・教育機関など、Intel Macをまだ大量に使っている組織 は、この発表を受けて 早急にApple Silicon移行計画を立てなければならない。
【Intel Macユーザーが検討すべきアクション】
- なるべく早期にApple Silicon搭載Macへの移行を計画する
- 予算・調達リードタイム・ソフトウェア検証などを今から始める
- 古いIntel Macをいつまで業務に使うべきか明確なルールを設ける
- 長期利用予定のソフトウェアがApple Siliconネイティブ対応済みか確認する
放置していると 2028年頃には完全にサポート外の「危険なPC」と化す恐れ が高い。
Intel Macユーザーはこの事実を真剣に受け止め、移行を加速すべき段階にある。
Apple Silicon Macユーザー:使っているアプリは大丈夫?確認方法
次に、すでにApple Silicon(M1 / M2 / M3 / M4)Macを利用しているユーザー はどう影響を受けるのか。
結論から言えば 多くのユーザーは心配無用。なぜなら 主流アプリは既にApple Siliconネイティブ対応済み だからだ。
【Apple Siliconネイティブ対応が完了している主なカテゴリ】
- オフィス系(Microsoft Office、Google系サービス)
- クリエイティブ系(Adobe CC全般、Final Cut Pro、Logic Pro)
- ブラウザ系(Safari、Chrome、Firefox)
- メジャーなソーシャルアプリ/チャットツール(Slack、Zoom、Teams)
これらはすでに Universalアプリ(Apple Silicon + Intel対応のバイナリ) となっており、Rosetta2がなくても問題なく動作する。
【確認方法】
自分のMacで使っているアプリが Intel依存なのかApple Siliconネイティブなのか を確認する方法は簡単だ:
① 「アプリケーション」フォルダで該当アプリを選択 → ⌘ + I(情報を見る)
② 「種類:」欄に「アプリケーション(ユニバーサル)」 または「アプリケーション(Apple Silicon)」 と表示されていればOK
③ 「アプリケーション(Intel)」 と表示された場合 → そのアプリは Rosetta2依存 → 早期に対応確認を要する
この手順は特に 古くから使っているソフト や 業務系特殊アプリ で意外なIntel依存が残っている場合があるため、一度は必ず全アプリをチェックしておくことを推奨する。
【今から準備すべき行動】
- アプリのベンダーにApple Silicon対応予定を問い合わせる/ロードマップを確認する
- アップデート版や代替アプリを検討し、移行プランを策定する
- どうしても代替手段がない場合は、macOS 27以前のOSを「封印用Mac」として残す選択肢も検討する
- 仮想化/エミュレーション技術の活用も場合によっては検討対象になる
後回しにすればするほどリスクは高まる。
2025〜2026年の間にこれらの確認と計画を進めておくことが極めて重要 である。
ゲームユーザーへの救済措置と例外的なRosetta残留機能
意外なことに、Appleは ゲームユーザーに対してだけは若干の救済措置を用意している。
macOS 28(2027年)以降でも 「古くから販売され、メンテナンスが終了しているIntel専用ゲーム」 については限定的にRosetta2サポートを残す方針が示されている。
これは以下のようなケースを想定したものだと考えられる:
- 旧版Steamタイトル(Intel専用)
- 古い独立系ゲーム
- 販売終了済みゲームのディスク版
- 旧エンジン(古いUnity/Unreal等)で作成されたゲーム
Apple側が 対象タイトルや対象エンジンをホワイトリスト的に管理する可能性が高く、無制限にIntelアプリが動くわけではない 点には注意が必要だ。
Apple側が 対象タイトルや対象エンジンをホワイトリスト的に管理する可能性が高く、無制限にIntelアプリが動くわけではない 点には注意が必要だ。
【注意すべきポイント】
- 例外対象は「一般的な業務アプリ」ではなく「古いゲーム」のみ
- Rosetta2のこの「ゲーム限定モード」が いつまで維持されるかは未定(Appleの裁量)
- 将来的にはこの救済措置も 完全終了する可能性が高い
ゲームユーザーは 対象タイトルの対応状況を確認した上で、長期的な保存や互換性維持策を考える必要がある。
例えば レトロゲーム保存用に古いIntel Macや古いmacOS環境を維持する選択肢 も検討対象になる。
まとめ
一般ユーザー視点から見たRosetta2廃止の影響 は、次のように整理できる:
✅ Intel Macユーザーは明確に移行期限が設定された(2028年頃まで)
✅ Apple Siliconユーザーは主要アプリはほぼ問題なし、だがチェックは必須
✅ Intel専用アプリは2027年以降ほぼ利用不可に → 早期の移行準備が必要
✅ 古いゲームだけは一時的な救済措置あり → だが油断は禁物
この章で最も重要な事は:
「今ならまだ準備できるが、2027年までに行動しなければ取り残される」
ということだ。
ユーザー側の能動的なチェックと行動が、快適なMacライフの継続に直結する時代が到来している。
Rosetta依存アプリの未来
主な業務用/プロ向けアプリの現状と対応状況
【比較的安心なカテゴリ】
- Adobe Creative Cloud系(Photoshop, Illustrator, Premiere Pro 等) → 完全Apple Silicon対応済み
- Microsoft Office系(Word, Excel, PowerPoint 等) → Universal対応済み
- 大手クラウドサービス/業務用SaaS → ほぼApple Silicon対応済み(ブラウザ経由で利用が中心)
これらの分野は、早い段階からApple Siliconネイティブ版を提供 しており、Rosetta2廃止の影響はほとんど受けない。
ユーザー側も大きな懸念は不要だ。
【注意が必要なカテゴリ】
- 業界特化型の専用アプリ(例:放送/音楽制作/医療機器制御/建築CAD/特殊な金融取引端末)
- 中小ベンダーが開発したニッチなユーティリティ/プラグイン
- 社内専用で開発された古いカスタムアプリ
これらの分野では いまだIntelバイナリのまま提供されているケースが散見される。
特に「一度導入して以降、アップデートがほぼ行われていない」ソフトウェアは 要注意 だ。
【今後の展望】
AppleはWWDC 2025で 開発者に強いメッセージ を出している:
「macOS 28までにApple Siliconネイティブ対応を完了せよ」
引用:Apple
このため、今後2年程度で動きの鈍いアプリは淘汰が進む可能性が高い。
企業や個人ユーザーは 自分が利用している業務系アプリの開発元がApple Silicon移行を予定しているか必ず確認しておくべき だ。
最悪の場合、「動かなくなるアプリは諦めざるを得ない」 というシナリオもありうる。
その際は 代替ソフトやプロセスの見直しも検討すべき だろう。
古いゲームタイトルとコミュニティ動向
ゲーム分野 はやや事情が特殊だ。
Appleは macOS 28以降でも一部古いゲーム向けには限定的なRosetta2機能を残す としている。
- 【対象になりそうなゲームの例】
古いSteamタイトル(2010年代の作品など) - 販売終了済みのMac版ゲーム(物理メディアやGOGなどで販売されたもの)
- 旧バージョンのUnityやUnreal Engineで開発されたMac Intel版ゲーム
Apple側は 「メンテナンス終了しているゲーム」を主な対象 としており、最新のゲームは基本的に Apple Silicon対応 or Windows対応を前提に進んでいる。
【コミュニティの反応と動向】
- Macゲーマーコミュニティは 早くからApple Siliconネイティブ版への移行圧力を認識している
- 一部有志は Wineや仮想化を利用してIntel版Windowsゲームの継続プレイ手段を模索中
- 公式な対応予定が不明な旧作については、動作確認や保存策を共有する活動が活発化している
【実務上の注意点】
- Rosetta2の「ゲーム限定モード」がどの範囲まで許容されるかは未確定
- 旧版のDRMや32bit非対応ゲームはそもそも現行macOSでも動かないケースがある
- Steam自体も今後Apple Silicon向けネイティブアプリ対応を進めている → 古いゲームの自然淘汰が進む可能性あり
長く遊びたいゲームについては 旧Mac/旧macOS環境の確保(レトロゲーミング用Mac) が安全策になる場合もある。
Wine/CrossOverなどの互換レイヤーはどうなる?
一部のマニア層や業務利用ユーザーは Wine/CrossOverなどの互換レイヤー を活用して WindowsアプリをMac上で動作させている。
ここもRosetta2廃止の影響を 強く受ける領域 のひとつだ。
【Wine/CrossOverが依存しているもの】
- Wine:本来はWindows APIのエミュレーターだが、x86 Windowsアプリの動作にはRosetta2の支援を受けている部分がある
- CrossOver:Wineの商用版で、Mac Intel版Windowsアプリを比較的快適に動かせる仕組み
- 【今後の影響】
Rosetta2が廃止されると、x86 Windowsアプリは基本的にApple Silicon Mac上で動作不能になる - ARM版Windowsアプリ(ARM64)にターゲットを移行する動きが進む
- Wine/CrossOver陣営もすでに ARM Windows互換に舵を切っており、既存Intelバイナリ対応は縮小傾向にある
【ユーザー側の備え】
- どうしてもIntel版Windowsアプリが必要なら仮想化環境(Parallels Desktopなど)+Windows ARM+x64エミュレーションの利用に移行する必要あり
- Wine/CrossOverは今後「新規に利用開始する場合」はよく調査してから選択すべき
今後 「Macでx86 Windowsアプリを直接動かす時代」は実質的に終焉 を迎える可能性が高い。
レガシーアプリの「延命」戦略とリスク
最後に、どうしても残したいレガシーアプリ(Intel専用アプリ)をどう延命すべきか?
【現実的な選択肢】
方法 | メリット | デメリット |
旧版macOS(27以前)で封印Macを残す | 確実に動作保証が維持できる | セキュリティ/互換性の問題が徐々に増大 |
仮想化環境で旧macOSを動かす(業務向け) | ある程度安全な隔離環境で動作可能 | 仮想化の技術的な知識が必要/一部ライセンス上の制約あり |
アプリ側の代替ソフトや新規ソリューションを模索 | 長期的な互換性が確保可能 | 既存ワークフローの再設計が必要になる場合あり |
【リスク要素】
- macOSの旧版サポート終了に伴うセキュリティリスク が極めて深刻になる
- 旧ハードウェアの寿命問題(Intel Macの交換部品/修理難易度の上昇)
- 将来的に古いソフト資産のデータが移行困難になる可能性
延命は一時的な「猶予措置」としてなら有効だが、中長期的には抜本的な移行が推奨される。
まとめ
Rosetta依存アプリの未来 は残念ながら 「緩やかな終焉」に向かっている のが現実だ。
✅ 業務アプリ → 主要ベンダーは概ねApple Silicon対応へ移行中/未対応ソフトはリスクが高い
✅ 古いゲーム → 一時的な救済措置あり/長期的には保存・仮想化戦略が重要
✅ Wine/CrossOver → x86 Windowsアプリ直接実行の未来は厳しい/ARM対応への移行が進行中
✅ 延命策 → 現実的な手段はあるがリスクも伴う/真の解決はApple Siliconネイティブ化 or ワークフロー刷新
「今は使えるから大丈夫」ではなく、「あと数年で使えなくなる前提」で備えることが求められる。
この視点がなければ 突然のアップデート不能/動作不能という事態に陥る危険性が高まる のだ。
開発者・企業側の対応とチャンス
Appleの強いメッセージ:開発者への明確な期限提示
Appleは WWDC 2025にて、開発者に対して非常に明確なメッセージ を発している。
「macOS 28(2027年)までに全MacアプリはApple Siliconネイティブで動作するべき」
引用:Apple
これは単なる「推奨」ではなく、事実上の最終通告 に近い。
Rosetta2がmacOS 28で 限定的なゲーム用途以外の一般アプリ変換を停止 する方針が示された以上、IntelオンリーなMacアプリは2027年以降ほぼ起動不可になる と見て良い。
【Appleの意図】
- Apple Siliconネイティブなアプリだけが今後のMacエコシステムの正規市民になる
- 開発者は Universal 2(Intel + Apple Silicon)バイナリ or Apple Silicon専用バイナリ を早急に整備すべき
- Rosetta依存を「古いコードの残骸」として放置している場合は 脱却せよ という強いメッセージ
つまり、Appleは 開発側の“甘え”を許さず移行を完遂させようとしている。
Universalアプリへの移行とAppleの支援策
Appleは決して 「突き放している」 わけではない。
移行支援策も多く提供 しているのが特徴だ。
【支援策の主な例】
- XcodeにおけるUniversal 2ビルド機能の標準提供 → 再コンパイルが比較的容易
- Apple Silicon向け最適化ガイドラインやベストプラクティスの公開
- Apple Developer Transition Kit(DTK)による事前移行支援(2020〜2021年に提供)
- Rosetta2が非常に優秀だったため、Intelアプリがユーザー側でスムーズに維持され、開発者が猶予期間を確保できた
この環境が整っていたおかげで メジャーなアプリはほぼすべてApple Silicon対応済み となっている。
残る課題は 中小規模ベンダー/一部特殊業務アプリ/非積極的なソフト会社 に集中している。
【開発者が今すぐ取り組むべきこと】
- 自社アプリが Apple Siliconネイティブに対応済みか確認する
- Universal 2バイナリ対応の計画を立てる(未対応なら急務)
- ユーザー向けに 対応状況のアナウンスを明確に出す
- 社内で古いIntel依存コードを 技術的負債として棚卸しする → 早期に解消
2025〜2026年は「猶予期間」だが、実質的にここが勝負の2年間になる。
Intelオンリーなコード資産の「整理整頓」が急務に
特に 長年にわたりIntel Mac向けに開発してきたソフト会社/IT部門/企業内開発チーム にとっては、今後以下のような整理整頓作業が急務となる。
【具体的に見直すべき項目】
- ビルド環境
→ Apple Siliconへの対応状況確認/古いIntel専用のライブラリ依存排除 - アプリ内蔵の古いコードやバイナリ
→ 古いIntel向けプラグイン/外部DLL/古いコードパスが残っていないかチェック - 社内でIntel Mac専用に使っている社内アプリ・ツール
→ 廃止/リプレイス/Apple Silicon対応方針を決める - ドキュメントやナレッジベースの更新
→ Apple Silicon前提の内容に刷新する/Intel Mac前提の記述は段階的に整理
この「コード資産の棚卸し」作業は、多くの企業や開発者にとって 大規模な技術的負債の解消チャンス にもなる。
逆に 先送りすると、将来的にmacOSアップデート時に一気に業務停止リスクが生じる ため危険だ。
長期的に見たMacプラットフォームの健全性向上
AppleはこのRosetta2廃止を通じて Macプラットフォームそのものをより健全な形に進化させようとしている。
【Apple Silicon時代のMacが得られる利点】
- パフォーマンス向上(消費電力効率も大幅アップ)
- セキュリティ機能(Secure Enclave・Memory Protection・最新コード署名要件) の強化
- OSの軽量化・最適化が進む → システムの安定性向上
- Apple独自チップの能力を活かした新機能の実現(Neural Engineなど)
Intel互換性という「過去の遺産」を整理することで、Appleはより未来志向のMac体験をユーザーに届けられる。
開発者にとっても:
- 最新のApple Silicon向け最適化手法を活用できる
- より高性能なアプリ体験をユーザーに提供できる
- Intel互換維持に使っていた開発・テスト・QAの工数を削減できる
などの恩恵が大きい。
Appleは未来のMacを「完全にApple Siliconネイティブな世界」に移行させようとしているのは明白 であり、そこに 開発者も積極的に追随する価値が大いにある。
まとめ
Rosetta2廃止は開発者・企業にとってリスクとチャンスが同居するイベント だ。
✅ Appleは明確な期限を提示した(macOS 28がターニングポイント)
✅ Universal 2化はApple側の支援策も充実しており移行は実現可能
✅ Intelオンリーなコード資産は今こそ整理整頓の好機
✅ 長期的にはApple Siliconネイティブ化によってMacプラットフォームはより健全・安全・高速になる
2025〜2026年は猶予期間だが、この間に動いた開発者・企業が次世代Mac時代の主役となる。
一方で、放置した場合は 「突然アプリが起動しない」「業務システムが動作不能に陥る」未来が待っている。
今こそ行動の時だ。
Macの未来とユーザーが今から準備すべきこと
Apple Silicon時代の完全到来
Apple Silicon時代のMac は、もはや「移行期間」ではなく 新しい標準 に成長しつつある。
2020年にM1チップ搭載Macが登場した当初は「Intel版との互換性がどこまで保たれるのか」「既存アプリは動くのか」といった不安も少なくなかった。
だがそこから5年の時を経て、いまや Apple Silicon搭載Macは圧倒的なパフォーマンス・省電力性・高いユーザー満足度を実現する製品群 となっている。
WWDC 2025のRosetta2段階的廃止発表は、Appleにとって 「Intel互換時代の終幕宣言」 に等しい。
これからのMacは Apple Siliconネイティブな体験を軸に進化し、Intelコードの互換性は徐々に過去のものとなっていく だろう。
これは単なる互換性問題にとどまらず、Macというプラットフォームがよりモダンに、安全に、洗練された存在になるための大きな一歩 でもある。
Rosetta2の終焉が意味するもの
Rosetta2の廃止は表面的には「古いアプリが動かなくなる」という話に聞こえるかもしれない。
だが本質的にはもっと大きな意味を持つ。
【Rosetta2廃止が象徴する変化】
- Macが「純正Apple Siliconプラットフォーム」へ完全移行する
- OS内部のIntel互換コードが整理され、より最適化された設計が可能になる
- セキュリティモデルがより一貫したものになる
- Apple Silicon特有の新機能をOSレベルでより積極的に展開できるようになる
- 開発者はレガシー対応から解放され、最新技術への注力が可能になる
つまりこれは Macという製品の進化を加速させるための「断捨離」 にほかならない。
その意味で ユーザー側に求められるのは「変化への能動的な適応」 だ。
ユーザーの今後の行動ガイド:確認すべきチェックリスト
【Intel Macユーザー】
✅ 自分のMacがIntel MacかApple Silicon Macか確認する(→ メニュー → このMacについて)
✅ Intel Macの場合、2025年秋以降は新macOS非対応になると理解しておく
✅ 2028年頃までにはApple Silicon Macへの移行を確実に進める計画を立てる
✅ 業務用に使っている場合はIT部門/上司と相談して移行方針を明確にする
【Apple Silicon Macユーザー】
✅ すべての主要アプリがApple Siliconネイティブ or Universalか確認する(→ アプリケーション情報)
✅ Intel専用アプリが残っている場合はベンダーのApple Silicon対応方針を調べる/問い合わせる
✅ 代替アプリや後継版があるか調査し、準備を進めておく
✅ どうしても代替がない場合は、旧macOS環境の維持や仮想化利用を計画する
【ゲームユーザー】
✅ SteamやGOGで保有している古いMacゲームのIntel依存状況を確認する
✅ Appleの「ゲーム限定Rosetta2サポート」対象外になるリスクを理解する
✅ 長期保存したいゲームは旧Macや仮想化を活用して保存計画を立てる
✅ できるだけApple Siliconネイティブ対応版の購入や移行を優先する
将来的な互換性確保へのTips
【1】 ハードウェアを残す
- レトロゲームや特定の業務ツール利用のために Intel Mac+古いmacOS環境を1台保守用に残す のは有効な選択肢。
- ただしセキュリティリスクがあるため ネットワークから切り離したオフライン運用 が基本推奨。
【2】 仮想化を活用する
- Parallels Desktopなどを使い、Intel版macOS仮想環境をApple Silicon上で動かす のも選択肢のひとつ(ライセンス条件の確認が必要)。
- 一部企業向けには仮想デスクトップ(VDI)で古い業務アプリの延命策が提案されている。
【3】 データ移行計画を作成する
- 古いIntel依存アプリが生成するデータ(特殊なフォーマットなど)は、今のうちにエクスポート/変換してオープンな形式に移しておく と安心。
- 将来的に 「古いアプリが消えてデータにアクセスできなくなった」 という事態は十分起こりうるため、今のうちから対策を講じたい。
まとめ
Macは今、新しい時代に完全に舵を切ろうとしている。
Rosetta2廃止という出来事は、単なる技術仕様の話ではなく、Appleが未来志向のプラットフォーム進化を推し進める強い意志の表れ だ。
ユーザーに求められるのは「変化を先取りして準備する意識」。
「今は問題なく使えているから」と油断せず、2〜3年後を見据えて計画的に環境を整えていくことが快適なMacライフ継続のカギ になる。
そして、Apple SiliconのMacは今後ますます魅力的な進化を遂げていくだろう。
その恩恵をフルに享受するためにも、古いIntel依存から脱却する勇気と行動力が、いま求められているのだ。