なぜ普及しない?水素ステーションとFCVの誤算

この画像はChatGPTによって生成されました。
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かつて「究極のエコカー」としてもてはやされた燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)。

水素を使って発電し走るという未来的な技術は、大きな期待と共に登場しました。

同時に、インフラとしての水素ステーションの整備も国を挙げて推進され、多額の補助金が投入されてきました。

しかし、今──。

現実は当初の期待から大きくかけ離れたものとなっています。

なぜFCVは普及しなかったのか?

なぜ水素ステーションも広がらなかったのか?

そこには**「見落とされた本質的な問題」**が潜んでいました。

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FCVが抱える根本的な問題

まず、FCV自体に存在する「構造的な問題」を見ていきましょう。

エネルギー効率の低さ

水素は一見、クリーンなエネルギー源に見えます。

しかし、実際には「水素を製造し、運搬し、圧縮・貯蔵し、車両に供給して発電する」という一連のプロセスで、莫大なエネルギーを消費しています。

例えば、

  • 電力を使って水を電気分解して水素を作る(ここでロス)
  • 水素を高圧にして貯蔵・運搬する(ここでもロス)
  • 車に搭載して発電する際にもロスが発生する

これらをすべて合算すると、電気自動車(EV)に直接電気を充電する場合と比べて、効率は半分以下になるといわれています。

要するに、「エネルギーを無駄遣いしながらエコを名乗っている」のがFCVの実態なのです。

コストが圧倒的に高い

燃料電池システムは非常に複雑で、製造コストが高額です。

トヨタの「MIRAI」も、初期モデルは補助金なしでは1台700万円近い価格設定でした。

しかも、水素ステーションの建設費は1か所あたり数億円レベル。

これを全国津々浦々に普及させるのは現実的に不可能です。

一方、EV用の急速充電器は、数百万円~数千万円で設置可能。

コストの面でも、FCVはまったく勝負になっていないのです。

使い勝手の悪さ

水素ステーションは全国でもまだごくわずか。

日常的に使うには「水素が入れられる場所」を探すところから始めなければならず、自由に行動できません。

また、水素の充填も短時間とはいえ、専用設備が必要で、手間もかかります。

一方EVは、家庭用コンセントからでも充電でき、充電スタンドも急速に整備されています。

**「便利さ」**という点でも、FCVは一般消費者のニーズに応えられていないのです。

水素ステーションの普及が進まない理由

インフラ面もFCVにとっては大きな壁でした。

設置コストと維持費の高さ

先述のとおり、水素ステーションの設置コストは非常に高額。
さらに、

  • 水素の供給管理
  • 安全対策
  • 設備の保守点検

など、運営コストも莫大です。

利用者が少ないため、ステーション運営会社は赤字経営を強いられ、補助金なしではとてもビジネスとして成り立ちません。

「赤字を補助金で埋めるためだけに存在しているステーション」が現実となっています。

「水素ステーション」突然の閉鎖にユーザーおろおろ…燃料電池車は手厚い「補助金」があっても売れない?:東京新聞デジタル
「自宅近くの水素ステーションが閉鎖されることになり困っている」との声が本紙に寄せられた。水素で走り、「究極のエコカー」といわれる燃料電...
https://toyota.jp/info/station/

https://toyota.jp/info/station/

法規制と安全面の問題

水素は極めて可燃性が高く、取り扱いには厳重な安全対策が求められます。

設置場所に制約が多く、都市部への普及が特に難しいことも、拡大を阻む要因となっています。

一方、EV用充電スタンドはスーパーの駐車場やコンビニなど、気軽に設置できるため、圧倒的なスピードで普及しています。

EVとの決定的な差

ここ数年、EVの技術は急速に進化しました。

  • 航続距離は500km超えが当たり前
  • 充電インフラも爆発的に拡大
  • コストも下がり、選択肢が増加

つまり、消費者にとって「EVを選ばない理由」がどんどんなくなってきているのです。

対してFCVは──

  • 価格が高い
  • インフラが貧弱
  • エネルギー効率が悪い
  • メリットがほぼない

という「買う理由が見当たらない」状況に陥っています。

市場がどちらを選ぶかは、もはや明らかです。

まとめ──水素社会は幻想だったのか?

FCVと水素ステーションは、壮大な理想を描いてスタートしました。

しかし、技術的課題、コスト、インフラ問題、市場のニーズとのミスマッチ──

これらが積み重なった結果、普及の兆しすら見えないのが現実です。

今、求められるのは、現実を直視すること。

莫大な税金を投入してまで、FCVと水素ステーションに固執するべきなのでしょうか?

それとも、より合理的で持続可能な選択肢──すなわちEVや再生可能エネルギーとの組み合わせを加速すべきなのか?

未来を本当に変えるのは、効率と現実を重視した技術だと、私は思います。

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